龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。


「あの、こ、こんばんは。篠崎 怜真さんに呼ばれて参りました、浦安 深月と申します……ってあれ?」

篠崎の浮気相手、深月だったからだ。

毛先を切りそろえた黒く長い髪を幅の広いカチューシャでまとめ、大人っぽすぎない落ち着いたキャラメルブラウンとキャラメルブラックのワンピースを着ている。

黒と赤の制服もよく似合っていだが、今の格好もまた違った雰囲気がある。

「あぁ、こっちですよ、こっち」

四葉が手招きして、深月を呼び寄せる。

「ど、どちら様で……?」

深月は訳が分からない様子で、眉を顰めた。

「まぁ、取り敢えずこちらへ掛けてください」

困惑した顔のまま、深月は大人しくナゴミの隣に腰掛けた。四葉を少し警戒しているらしい。

「私は玲瓏学園初等部生徒会長の龍華寺 四葉。こっちは副生徒会長の駒木 七五三です。年下ですから、敬語は使わなくて結構ですよ」

四葉の紹介に合わせて、ナゴミはペコリと頭を下げた。

「そろそろ役者が揃いますので、そのままでお待ちを」

「はぁ……?」

深月はまだ意味が分からないようだったが、やることも無いのでそのまま四葉に従った。

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