龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
外のネオンのせいだろうか?瞳が心做しか黄緑に光ってるように見える。
「あーいうのは、あれくらいで丁度いいんだよ。それなりの度胸と、息をするように嘘をつける舌がある無駄に丈夫な奴は」
車の中は防音になっているのか、エンジンの小さな音くらいしか聞こえない。
他に聞こえるのは、助手席で眠ってしまった詠芽の寝息だけ。
「雑草と同じだよ、根こそぎ取って捨てて燃やさないと、変な所で根強く成長して抜けなくなって周りに被害を及ぼす」
「……もし、もしもだけど、間違って将来綺麗な花になる芽を雑草と間違えて摘んじゃったらどうするの?」
未来に何か功績を残す人を間違って傷つけたら、四葉はどうするのだろうか?
枯れた花は、一度摘んだ植物は、元の青々しい状態に戻るのはほぼ無理だ。
四葉はそれでも良いのか?
「……」
「……龍華寺さん?」
返事がこない。
詠芽を追うように寝てしまったのか?
視線が外を向いたままで、表情も分からない。
「ま、私達小学生だもんね……先の事なんて分かんないか」
ナゴミもネオンの眩しさに目を閉じた。
ここ数日飛ぶように、いや四葉に吹っ飛ばされるようにいろんな事がありすぎて疲れた。