龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「え?」
「あ、ありがとうございます……」
クローバーを四葉、スペードをナゴミに渡して、美奈はニコニコと微笑む。
「龍華寺さん、これお願いしたの?これがお礼?」
「あー、いや、私が頼んだのは……」
珍しく四葉の歯切れが悪い。
「龍華寺様が頼んだのは『駒木様』でしたの」
「え、私?!」
「『友達になりたいから、なれるようにして欲しい』とのお願いでしたので……でも、わたくしには、お二人共充分仲良しに見えましたので。もっと友情が深まるように、お揃いのリストバンドを差し上げたのですわ!」
四葉がそっぽを向く。
耳が赤い。
「それと、ハートとダイヤも仕立てておきましたので、もし生徒会にお仲間が増えた際にどうぞ、龍華寺様」
「ぅあ、あ、っ、ありがとうございます……」
四葉が照れつつも受け取る。
「……ずっと、皆私の事恐れて、ビビって、近づいてくれなかったから……ナゴが普通に接してくれて嬉しかったんだ」
口の中でもしょもしょと誤魔化すように言う四葉。
本気モードの瞳が蛇だとしたら、今は可愛い子犬だ。
「人との距離感とかよく分かんないし、また振り回しちゃうかもだけど……一緒に、これからも生徒会で下剋上、やってくれるか?」