龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
調理実習
ザク、ザク、ザク……
「ねぇ、危ないよ、やめよ?」
ナゴミの声が震えるのを無視して、四葉は黙々とその作業を続けた。
何も聞こえてないかのように一心不乱に。
時々涙を拭ったり、鼻をすする以外は、延々と同じ作業を繰り返している。
「しょ、小学生が刃物とかやっぱり……」
「……っ!」
「?クロちゃん?どうし……」
四葉の指先には、真っ赤になった包丁と、赤い飛沫が飛んだ涙目の四葉の顔。
思わずナゴミは後ずさった。
「ひっ!」
「うわ、やっちったな……こんな所にケチャップ置いたの誰だよ、畜生」
顔に付いた赤い飛沫……ケチャップを舌で舐めとりながら、四葉は面倒くさそうにナゴミの方を振り返る。
「つか、大げさだっての、調理実習で包丁使わないでどうすんだよ」