龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「んー!美味しーよ、これ。卵良い感じにふわふわー」

「あ、リンちゃん……いただきますしてからじゃないとダメ」

「細かい事は良いじゃーん、ハルも食べてみなよー!」

リンは問答無用でスプーンですくったスクランブルエッグを遥加の口に突っ込む。

途端に遥加の顔が綻んだ。

「んむ……美味しい」

「でっしょー?!」

「なんで鷹嘴がドヤるんだよ、卵担当は栃本とナゴだろ」

手柄を取られたような立場のナゴミに代弁して、四葉が一歩前に出る。

「あ、ごめんごめんナゴミちゃん!てか、リンで良いよー、四葉チャン。あと『鷹嘴』って『カモノハシ』みたいでなんかアホっぽいから、リンって呼んでー?」

「あーもー、分かったよ、リン」

「えっへへー、友達増えちったー♪後でLIKE(ライク)交換しよ?」

はしゃぐリンを保護者のように見つめる遥加。

それを見るだけで、ナゴミは二人の関係性がよく分かった。




クラス全員の調理が終わり、やっと作った料理を食べる時間になった。

いただきますをしてから口に運ぶと、ふわりと優しい味が広がる。
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