龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「あれ、今の……遥加ちゃんの声?何、今の音……」
「ナゴ、行くぞ!」
四葉は反射的に走り出した。
「え、え?行くの?」
ナゴミも慌てて四葉の背中を追いかける。
「あそこかな?」
どうやら音がしたのは、バスケットボールやバトミントンのラケットが保管されてる準備室らしい。
先生や生徒が人だかりを作っていた。
それをかき分けて前に行くと、リンと遥加の前に砕けた破片が落ちていた。
「あっぶなかったー、ギリギリだったよー」
「う、うん……リンがいなかったら、ワタシ死んでたかも」
驚いたまま動けない二人と視線を合わせて、ナゴミは事情聴取する。
「遥加ちゃん、リンちゃん、何があったの?」
「あー、バスケボール取ろうとしたら、蛍光灯がいきなり落ちてきたんだよー」
「それをリンが落ちる少し前に気づいて……避けた瞬間に落ちてきたの。びっくりした」
天井を見ると、蛍光灯のない嵌め込み口。
その真下には粉々になった蛍光灯の破片。
その真横に、腕を引っ張って避けさせたのか、遥加の腕を掴んだままのリン。
ただの不幸な事故のようだ。