龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「二人共、破片とか危ないし、一回保健室行ってきたら?見えないところに破片が入ってるかもだし」

「そうだね……リン、行こ?」

「う、うん」

二人はまだ怖いのか、震える手を繋ぎあって保健室へ向かった。

「皆~、破片とか片付けるから、危ないからそっち行ってて」

「「「「はーい」」」」

先生が箒とちりとりを持って片付けを始めた。

邪魔になる女子生徒達は、誰からともなくステージの方へ向かい、お喋りを始める。

四葉は『生徒会長だから』とゴミ袋を持って片付けを手伝うつもりのようだ。

狭い準備室に三人も要らないので、ナゴミは暇になって近くの壁に寄りかかる。

「いやー、リンちゃんと遥加ちゃんには悪いけど、二人だけで良かった。皆で一斉に準備室いたら、誰かしら当たってたかもしれないし」

「そうね、不幸中の幸いだわ。きっと業者さんか先生がちゃんと付けてなかったのよ。後で教頭先生に伝えておかなきゃ」

四葉に言ったつもりだが、先生の耳にも入ったらしい。

先生は年甲斐もなく頬を膨らませてかわいこぶる。

……確かこの人、今年で三十代を迎える独身のはずだが。
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