龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「え?」

振り返ると、さっきまで遥加とリンの治療をしていた人が手を振ってる。

長い白衣を羽織ってるがよく見るとその下に高等部の制服を着ていた。

こんな少年、ナゴミは見た事が無い。

保健の先生じゃないなら……誰だろうか。

「よっす!」

こっちの気持ちはお構い無しに、人懐っこい顔で笑っている。

その顔には、少しデジャヴを感じた。

「えっと、貴方は……」

「初めましてだね。オレは龍華寺 菜種(りゅうげじ なたね)!四葉の二番目の兄貴。保健委員なんだよ」

デジャヴの正体が分かった。

少し四葉と詠芽に似てるんだ。

長男の花厳(かざり)と三男の詠芽(えめ)とは接触があったが、次男とは初めてだった。

「ヨツから話は聞いてたよ。君が駒木 七五三(こまき なごみ)ちゃんでしょ?ちょっと話があるから、そこ座ってくれる?」

「あ、はい……」

コミュ力が高いのか、単にチャラいのか、初対面にも関わらず菜種は話を進める。

大人しくナゴミはさっきまで遥加とリンがいた長椅子に腰掛けた。

内緒の話のようで、菜種は口元に手を添えて小声で喋る。
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