龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「いや、充分大事件だよ!」
さすが警視総監の孫娘。
基準が狂ってる。
「でもさ、仮に事件とあの二人に関係があったとして……どう調べるの?」
現段階では、二人が過去に何度か事件に関わった事があるということしか分からない。
四葉はここからどう動くのか。
「とりあえず、情報収集と洒落込むか」
放課後。
「ね、ねぇ、大丈夫なの?」
「大丈夫だって。私だし」
妙に納得のいく言い分だ。
ここは四葉の一番上の兄、花厳(かざり)が一人暮らしをしているマンションの一室。
駆け出しで探偵をやっている彼は、自分の身の回りで起こる事件を調査している。
そのため、事件に関する新聞の切り抜きや資料のファイルが沢山あるのだ。
四葉曰く、「事件の宝庫」らしい。
合鍵をチラつかせながらニヤニヤする顔は、警視総監の孫娘というより、犯罪者の卵だった。
「……よっ、と、これだな」
四葉が一番上の棚から取り出したのは、ここ数年の出来事をまとめたファイル。
『玲瓏タイムズ』と表紙に書いてある為、広報委員会の生徒が作ったものと思われるそれは、他のものと比べて妙に分厚かった。