龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「放火、盗難、事故、事件、いじめ、暴力、嫌がらせ、異物混入……」
斜め読みしてもナゴミはクラクラしてくる。
嫌な言葉が散りばめられてる。
「な、なんで、ここだけこんなに事件が……」
「おい、何をしてる」
「ぴょえっ!」
後ろから低い声が響いた。
花厳がいつの間にか帰宅していたらしい。
「ご、ごめんなさいぃ……って、あれ?菜種さん?」
「へへー、残念、オレでしたー!カザの真似、上手かったっしょ?」
振り返ると、鼻の下を指で擦りながらケラケラ笑う菜種の姿があった。
「もう!ビックリさせないでくださいよ!でも、どうしてここに?」
「ごめんごめん、ヨツに頼まれたもの持って来たんだ。どうせ『下剋上』するならド派手な方が良いっしょ」
「ド派手って……」
前回の美奈の件が頭をよぎる。
あれと同じくらいの事をまたやるのだろうか。
「クロちゃん、今度は何する気?」
「だから、『下剋上』だよ。カーストの上にいる邪魔な奴を蹴落として、下にいる奴を助けて上に持っていくんだ」
四葉はファイルを片付けて上の空で返事するが、答えになってない。