龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
切り裂くような勇ましい声に、リンは首をすくめた。
「蛍光灯の件も、ボヤ騒ぎも!一歩間違えてたら遥加どころか皆死んでたかもしれない!そんなに遥加の事が大切なのに、なんでそんな事するんだ!!」
遥加は気まずそうに、端の方で成り行きを見守っている。
「好きだ大事だ言ってても、結局お前にとって栃本 遥加は、ただの自分の評価と価値を上げる、踏み台でしかなかった。踏み台が壊れたらただ元の場所に戻るだけだもんな」
四葉の勝ち誇った顔から逃げるように、リンは遥加を見つめた。
対して遥加は、怖がっているのか肩を震わせてる。
「……ねぇー、ハル?アタシら、大親友だよねー?」
縋るような目で、リンは遥加に一歩近づいた。
「あ、えと……」
それとは対照的に、遥加は一歩下がった。
一瞬リンの顔から生気が失せた瞬間、待機していた菜種と詠芽が引き摺るように連行した。
故意に怪我をさせようとしていたとなると、停学か退学の恐れもある。
もう遥加とリンが会う事は無いだろう。
「ねぇー!!!ハル!!ハール!!遥加ああああああああぁぁぁーーーーっっ!!!!」
泣き叫ぶリンの声が、薄暗い体育館に響き渡った。