龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
ピリリ、ピリリ
ナゴミの言葉を遮って、四葉のスマホが鳴った。
「む、カザ?……もしもし?」
四葉の一番上の兄、龍華寺 花厳(りゅうげじ かざり)から電話が来たようだ。
「え?ナゴにも?……分かった。ナゴ、カザが言いたい事あるって」
「私に?」
「ナゴにっていうか、私ら二人に」
ピッと四葉がスピーカーボタンを押し、机の上にスマホを置いた。
『ナゴミ嬢、久しぶりだな』
嬢って……
どこかの族のような口調と、二十歳とは思えない渋く低い声で、なんだか気が抜ける。
というか、花厳にとっては久しぶりでも、ナゴミは美奈の件の時車の後部座席から暗い中一度見ただけ為、久しぶりという感じがしない。
『俺は一応医学も齧ってるんだが、勝手ながら今回の被疑者の少女を診察させてもらった。診断の結果……鷹嘴 リンは単なる依存だけでなく、代理ミュンヒハウゼン症候群の傾向もある』
「だいりみゅんひはうぜん……?」
舌を噛みそうだ。
「何ですか、それ?」