龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。



ピリリ、ピリリ



ナゴミの言葉を遮って、四葉のスマホが鳴った。

「む、カザ?……もしもし?」

四葉の一番上の兄、龍華寺 花厳(りゅうげじ かざり)から電話が来たようだ。

「え?ナゴにも?……分かった。ナゴ、カザが言いたい事あるって」

「私に?」

「ナゴにっていうか、私ら二人に」

ピッと四葉がスピーカーボタンを押し、机の上にスマホを置いた。

『ナゴミ嬢、久しぶりだな』

嬢って……

どこかの族のような口調と、二十歳とは思えない渋く低い声で、なんだか気が抜ける。

というか、花厳にとっては久しぶりでも、ナゴミは美奈の件の時車の後部座席から暗い中一度見ただけ為、久しぶりという感じがしない。

『俺は一応医学も齧ってるんだが、勝手ながら今回の被疑者の少女を診察させてもらった。診断の結果……鷹嘴 リンは単なる依存だけでなく、代理ミュンヒハウゼン症候群の傾向もある』

「だいりみゅんひはうぜん……?」

舌を噛みそうだ。

「何ですか、それ?」
< 79 / 99 >

この作品をシェア

pagetop