龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「普通、身体を壊したり身の回りに不幸があったりすると、皆心配して気にかけるだろ?そうしてもらいたくて仮病を使ったり、わざと怪我したりするのがミュンヒハウゼン症候群。代理ミュンヒハウゼン症候群は、自分の代わりに友達や自分の子供を怪我や病気にさせて、それを庇おうとしたり看病したり、偉い人に感情的になって講義したりして、周囲の目を引き自分の評価を上げようとするんだ。
過去にも事例が幾つかある。ビタミン剤を過剰に飲ませたり、子供がアレルギー反応を起こすものを食べさせたり、服用してる薬と相性が悪いものを摂取させたりして……」

「???」

四葉とナゴミはフクロウのように首を九十度に傾げた。

小学生にはよく分からない上、長すぎてさっぱりだ。

電話越しでもそれが通じたらしい。

「あー、つまりだな。自分を良く見せるために、友達や子供を利用するっていう精神的な病なんだよ。自作自演で悲劇のヒロイン気分に浸ってしまうんだ。もっと簡単に言うと……そうだな、重度の構ってちゃん、かな?」

どうだ?これで分かるか?と花厳が教師のように確認した。

重度の構ってちゃん……これなら分かるし納得も行く。

リンは何度も遥加の名前を連呼してたし、いつも守る様に前に立ってて、気を配ってた。

まるで、幼い子供がぬいぐるみを肌身離さず持っているように。

「それは分かったけど……カザ、それがどうしたの?」

『分からないのか、ヨツ』

花厳の声が格段に低く真剣なものになった。
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