龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

『ヨツ、話を……』

「うるさいうるさい!!なんで皆私の言う事やる事、考える事、全部に文句付けてくるんだよ?!」

『間違ってはいないんだ。ただ、方向が行き過ぎている。結局お前はまだガキなんだ。警視総監の孫といえど、出来る事に限度があるだろ。世界を統べる王じゃないんだぞ』

「……っ!」


ピッ!


返せなくなった四葉は、強制的に通話を切った。

肩で息をする四葉に、ナゴミは何も言えない。

気持ちは分からんでもない。

自分の中で築き上げた理想の世界像に、亀裂を入れられたんだから。

でも花厳の言い分もわかる。

彼は大学生で大人だし、言ってる事に間違いは何一つない。

対して四葉は小学生。

堂々とした立ち居振る舞いは憧れるし、カッコイイし、何より四葉の言動で救われた人間はきっと沢山いるはずだ。

それに……お母さんの事で何かあったようだった。

何か理由があるなら、ムキになるのも分かる。

「……ナゴ」

震えているけど芯のある声で、四葉はナゴミに問いかけた。
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