龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

玲瓏学園生徒の顔と名前をほぼ完璧に覚えている四葉だが、この女子生徒は苦しげに顔を歪ませてる為顔が分かりにくいらしい。

間違ってたらごめんなさい、と言うような遠慮がちな声色で、四葉は生徒の名前を口にした。

「高等部三年花組、生井 千利恵(なまい ちりえ)さんですよね?」











「大丈夫ですか?」

「ええ。ごめんなさいね、ビックリさせてしまって」

一口緑茶を啜ると、千利恵はだいぶ落ち着いたようだ。

少し前まで生徒会室前で力尽きてうずくまってた人間とは思えない。


―――あれから数刻前。

ナゴミはどこかに電話をかけ、迎えの電話を頼んだ。

千利恵を四葉と二人でどうにか支えながら歩かせ校門前に連れて行き、ちょうど来た車に乗り込んだ。

行き先はナゴミの家らしい。

そこなら話も聞けるし体調が良くなるような薬もあるかも、というナゴミの判断だ。

数分で到着してお茶を一服したところで落ち着き始め、今に至るという訳である。
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