龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「……その依頼、心得た」
そう断言した。
「ほ、本当?!本当に?!」
千利恵は泣きそうな顔で四葉に縋った。
「えぇ。ただ、私達はまだ若干齢十二のガキンチョ。大人や男性に手伝ってもらう事もありますが、それでも良いですか?」
「は、はい。それで母が落ち着くのなら」
ん?
大人で、男性で、こういった話に融通の利きそうな人といえば……
まさかと思い四葉に制止の手を出そうとしたが、それを交わして四葉は拳を振り上げた。
「さぁ、このカースト、逆さにしに行こう。下剋上だー!!」
『……俺、今課題と仕事両方入ってて死にかけてるんだが……』
スピーカーモードにしたスマホの通話口から文字通り本当に死にそうな声が聞こえた。
「そこを頼むよ~!カザしかいねーのよ~!可愛い妹の一生のお願い聞いてよ~!」
大人で医学に精通していて頼みを聞いてくれそうな人、それは花厳だった。
どうやらこの前の軽い喧嘩はまるく収まったようで、内容はともかくちゃんと兄妹らしい会話になっている。