龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

千利恵が帰ったあと、ナゴミの広い部屋で四葉は頼みの電話をかけたが、初っ端から見事に玉砕されている。

『お前の一生のお願いは五年前の四月と三年前の五月と去年の夏に聞いているが。お前の一生はいくつあるんだ、転生でもするのか。あるいは前世の分か。えェ?』

随分と記憶力が良い。

もう花厳はストレスがピークらしい。

皮肉めいた口調には恐喝するヤンキーのような雰囲気がこもっている。

「だって、他に方法何があるんだよ」

『どうして依頼を受けないという選択肢が無いんだお前は……』

力尽きたようにシャーペンが転がる音がする。

大学生としての学業も、探偵としての仕事も、両方とも大事で手が抜けないから大変そうだ。

「えー、じゃ、最後の手段行っちゃうぞ?」

『……何する気だ』

「ロリコン、って言えば、だいたい通じる?」

ドンガラガッシャーンと派手に散らかる音がした。

チャキっとメガネを直す音がすると、長い考慮の末、花厳は決断を口にした。

『全てが片付いたら、善処する。三日、いや二日ほど待ってくれないか』

「わーい」
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