引っ越し先はあたしの隣⁉︎
寝てたキミ
「おはよー!」
相変わらず元気いっぱいのなっちゃんが机に突っ伏しているあたしに声をかける。
「……おはよー」
「テンション低っ!」
そう、この通り。テンション下がってます……。
だって昨日即寝たけど、全然頭から離れないんだもん。
あの時寝たのはまだ夕食前だったからお母さんに起こされてご飯食べてさ、なんかいろいろやってるうちに離れるかな?とか思ってたけど、離れてくれる気配なし。
夜になってベッドに潜り込んで即寝てはみたものの
目を閉じるたびに隼田くんの顔が、ね。
だから完璧に寝不足。
いつまで経っても顔を起こさないあたしになっちゃんが心配そうに声をかけた。
「どうしたの?なんかあったでしょ」
あたしに目線を合わせるようにして顔を覗いてくる。
さすがなっちゃん!心配してくれてるんだあ。嬉しいな。
あたしは突っ伏したままなっちゃんのほうに顔を向けた。
「うん……。あのね、昨日来た転入生いるでしょ。その転入生、隼田くんが……あたしん家の隣に引っ越してきたの」
「なーんだ。それでテンションが低いってわけ」
あれ?
「驚かないの?」
なんだ~ちょっとは驚くと思ったのになぁ。
「いや、驚いたけど『えーー!』って言うような内容じゃないし」
そ、そうかなぁ。あたしはすんごく驚いたんだけどな。
ま、叫ぶほどじゃないか。
「そうだよね」
「で、本当にそれだけなの」
ズイッと顔を近づけながら聞いてくる直ちゃん。
「え、……それだけ、だよ?」
「なに、その中途半端な答え方は!」
ハッキリと言いなさい!みたいな目付きであたしを見てくる。
ぅう。
なっちゃんのこの目、弱いんだよなぁ。
本人は睨んでるようなんだけどさ、上目遣いにしか見えないよ。
絶対男子はいちころだと思う。
観念したあたしは正直に話し始めた。