引っ越し先はあたしの隣⁉︎






「あのさ、気になることあるんだけど聞いてもい?」

頬に触れていた手が下りて空を見上げながら隼田くんは言った。


あたしも同じように空を見上げて、それから頷く。


三日月の光があたし達を照らしている。



「さっきのメール、さ。見ちゃったんだけど、あれってどういう意味?」


さっきのメール?


あぁ、なっちゃんからのウキウキ応援メールか。


「っ!!」

思わずバッと隼田くんに顔を向けてしまった。



それでも隼田くんは空を見上げながら続けて、



「俺さ、木下のこと──」

「──っストップ!!!」


両手を前に突き出して言いかけた言葉を止めた。


下を向いてるから隼田くんの表情は分からないけど、きっとびっくりしてるんだろうな。


そうじゃなくてっ!!


あたしの、バカあぁあーーーー!

なんで止めちゃってるのぉおお!



で、でもっ!あたしの心臓が最高潮に達しちゃってもうどうしようもないくらいドキドキがっ。



ドキドキってよりバクバク。


ちょっと待ってっ。隼田くん何言うの?!

いや、あたしが止めてるんだけれどもっ。


前に突き出した状態でチラッと隼田くんを見た。



──っ!!



バチッと視線が重なった。

目をそらしたいけど何故かできない。

一瞬時が止まった感じがした。



すると、隼田くんがあたしの右手首を掴んだ。


「なんで止めるの?」

「うっ……」


だ、だって……!



あたしだってこれから言うことくらい予想つく。


そこまで鈍くないよ。


でもさ、それって有り得ないでしょ。

隼田くんが、だよ?!



や、待てよ?もっと逆な意味があるじゃん!キツイパターンが。


両想いとかないからねっ。絶対に!なに自惚れてるんだか……。



「はぁー、まったく」


そう言ったと同時にグイッと引っ張られて視界いっぱいに白い生地が広がった。


背中に温もりを感じる。


そこであたしは認識する。

隼田くんに抱きしめられているんだと。



どうしよう、心臓が壊れそうだよ〜〜っ!









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