引っ越し先はあたしの隣⁉︎






うー、離れたいよーっ!

はやく離れてーーーっっ!


でも、離れたくない。


そう思ってしまうのはわがままかな。


もー、どっちなんだよ!

なんか恥ずかしい。



「は、隼田くん、……はなし──」

「やだね。絶対逃げられるから」


『離して』って言おうとしたら遮られてしまい、さらにあたしの行動を読まれてしまった。



さすが隼田くんだ。っじゃなくて!!


もうこれ以上ドキドキさせないでよー!


「離してくださいーっ」

「しょうがないなー。じゃ、ちょっとだけね」


少し笑いながら言った彼にあたしは、やっと解放される、そう思った。


けどそう思ったのは束の間で。



「やっぱ訂正」

とまだ抱きしめたまま言った。



ななな、なんでよっ!!もうほんと心臓がやばいんだってっ。


「ちゃんと俺の顔見て言ってくれたら離してあげるよ」


はぇ?!


えっ、無理だよ!ムリムリっ!!


この状態から隼田くんの顔見るなんてできるワケないじゃんっ。


てか、思ったんだけど隼田くんSっけ全開だよね?



「きーのーしーたぁ?」

「うあっ!?!」

あたしは声をあげて自ら離れた。


いや、隼田くんの“せい”と言っても悪くないだろう。



だって、耳元で囁いたんだからっ。


隼田くんは囁いただけじゃないよ。最後に息吹きかけたんだからっ!


そのせいで変な声出しちゃったじゃんっ。









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