引っ越し先はあたしの隣⁉︎
隼田くんとお母さんが挨拶しに来たこと。
そばを出されて素の自分がでて喜んでいるところを隼田くんに見られてしまったこと。
なっちゃんは、「ばかだな〜」とか言ってうんうんと頷いて聞いてくれている。
そして、
「でね、わ、笑ったの!一瞬だけど。隼田くんが。それからずーっと頭から離れなくて……」
そう、彼が笑ったこと。
あー、思い出しただけで恥ずかしい。
今のあたしリンゴみたいに真っ赤かもしれない。
「なるほどね~舞もついにかぁ!」
なっちゃんは嬉しそうに言った。
『ついにかぁ』ってなに??
あたしは頭に大量の“?”を浮かべながらなっちゃんを見た。
「もう!可愛いなぁ!大丈夫、もう少ししたら分かるから」
そう言ってあたしの頭をポンとしてから教室を出ていった。
黒板の上にある時計を見るとSHR(ショートホームルーム)が始まる一分前だった。
それにしても『もう少ししたら分かるから』って何だろう?
なっちゃんは何か知ってるのかな。
一人でボーッと考え込んでいると
──ガタッ。
隣から椅子に座る音がした。隼田くんだ。
わぁー、どうしよ。なんか急にドキドキしてきた。
落ち着け。落ち着くんだ、舞美!
あたしは心を落ち着かせるため小さく深呼吸をした。