引っ越し先はあたしの隣⁉︎






ふぅ……解放された。


もーどんだけドキドキさせれば気が済むの?!ほんとに、もう。


てかさ、隼田くん。近すぎなんだけど。


離してもらったのにまだまだ近い。

あたしの心臓聞こえちゃってるかな?……はずかしいな。



「木下」

「あひっ」


おっつ……。なに『あひっ』って!絶対隼田くん笑う。


ほら。


「『あひっ』って。クククッ……はあーやべぇ。っ木下最高だわ」



そ、そんなに笑わなくてもいいじゃんか!


「そんなに笑うな!ばか!」


まだ笑い続けてる隼田くんにそう言ってやった。

ふん、『ばか!』ってつい言っちゃたけどそんなの今はいいもんねーっ!



本当はべーってやりたいけど、なんか反撃してきそうだから心の中でやった。



……反撃。

なんか嫌な予感。



「きのしたぁ?」


そう呼んだ隼田くんの顔はもうヤバい。

うわわわ。怒ってるよ。だって笑ってるのに笑ってないんだもん!


ジリジリと寄ってくる距離、じゃないんだよねー。

だからすぐに捕まってしまい……。


「木下が悪いんだからね?」

と一言だけ言ってから、キスした。



──っ!


いいいいい、いまっ!いまっ!!



きききっ、キ、ス、したあああああああああ!!


されたあああああっ。ほっぺだけどっ!


あ、口じゃないです。ほっぺたです。



ふわってしたよ?!ふわって!

隼田くんの唇……やわらっ!?なに考えてるんだ!あたしは。

でもでもでも、柔らかかった、なあ。



「もう木下おもしろすぎ。帰ろっか」


ん、と手を出して言うからその手に重ねて歩き出した。




隼田くんとの距離が0になった今日。

これからも笑って一緒にいれたらいいな。


隼田くん。こんなあたしを好きになってくれてありがとう。



そう心の中でつぶやき、横で笑っている彼にあたしは同じところにキスをした。



意図的にしゃがんでもらってね。









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