引っ越し先はあたしの隣⁉︎
え、待って。
なんであたしの名前が黒板に?
なにこれ。
頭が全然追いつかない。
小さなパニックを起こしてるあたしに隼田くんが説明してくれた。
決まった経緯を聞いて顔が青くなっていくのが分かるくらい、思考がハッキリしてきた。
要するに、あたしが色んなことを悶々と思いふけっている時に
文化祭で演劇に決まり、主人公を決めようとしたところで自分の手が……!
ちょっと待って。
もう、自分をぶん殴りたいんだけどっ!
なんでこうなっちゃったの!?
なんで手が上がったの?!
……ああ、そっか。
頭を抱えようとしてたところを見られてたんだ。
サイアクだ。
これじゃあ、『シンデレラ』じゃなくて『デブデレラ』だよ。
醜いお姫様になっちゃうよ?!
ダメだよ!
「あ、あのー。これあたしじゃない、方が、いいんじゃ、ないか、なぁ」
恐る恐る声を発してみた。
最後の方は消え入るような小さな声だったけど。
みんなの反応を待つ。
すごく困ってるよね……ごめんなさい。
でもやなんだよ。あたしでシンデレラが務まるのか。可愛くないし、綺麗でもないし。
そんなあたしでほんとに務まるの?みんなちゃんとよく考えてっ!
心の中では言いたい放題なんだけどね。
それが言えないのは難点。
ひたすら反応を待っていると1人が声を発した。
それは、男子。
「いいじゃん?木下がシンデレラで。俺が相手役やるから」
その言葉にみんなは賛成の声と拍手をしている。
中には意味深な声を発する人も。
「な!これでいいでしょ?」
相手役になると言った隣の人をみた。
……隼田くん。
そんな笑顔で言わないでよー。
最悪なことに、隼田くんが言ったおかげでそのまま役が決まってしまった。
嘘でしょ。
カップルでシンデレラするとか思ってもみなかったーー!