引っ越し先はあたしの隣⁉︎
有り得ない。ありえない。アリエナイ!
あたしが主人公?!
しかもシンデレラ!?
ウソでしょ。
「誰か嘘だと言ってーー!」
帰り道、隼田くんと歩いてる最中に黙っていられなくて発した。
その言葉に隼田くんは笑いながら言うんだ。
「嘘、じゃないよ。しょうがないよ、決まっちゃったんだし」
そして、ねっ、と顔を覗いてくる隼田くん。
なにが『ねっ』なの?!
そもそも隼田くんがあんな事言うからいけないんだ。
ってあたしが一番自分を苦しめた行動を起こしたんだけど……。
でもでも!なんで!!
「なんで、相手役なのー」
自分では小さく言ったつもりが隼田くんには聞こえたらしく隼田くんが言った。
「だって、誰も挙げようとしなかったし?」
うん、だね。
あたしの相手とかみんな嫌だよね。
「それに、木下だから?」
なんでそんな事簡単に言っちゃうかな。
ま、疑問形で言われたけど。
それにしても嬉しすぎる。
単純だな、あたし。
「フッ、かわい」
「か、かわいくない!」
べーっとして早歩きになるあたしを隼田くんは笑いながら追い越す。
ふたりして何してるんだか、なんて思いながら隼田くんの背中を追いかけたその時。
見覚えのある人物を見つけてしまった。