引っ越し先はあたしの隣⁉︎
なんで走ってしまったのか。
なんで泣いてたのか。
別に隼田くんは気にしてないとしても、あたしだったら知りたいし、分かり合いたい。
だから伝えたい。
息を深く吸って言おうとした時。
「いいよ、無理に話そうとしなくても」
遮られた。
まだなにも言ってないのに。
「で、でも」
間抜けな声であたしは隼田くんをみる。
「別に気にしてないし、謝ることもないし。急かしてもないから、さ。言いたくなった時でいいよ。木下の中で整理できた時に伝えてくれればいいから」
ベンチから立ち上がって背伸びをしながらそんな事を言った。
……うん、そうだよね。
「隼田くん、ありがとう」
あたしも立ち上がって背伸びをした。
自然と手を繋ぎ、家に向かって歩きだすと隼田くんが言った。
「木下、泣いてもいいけど……泣いた分たくさん笑顔見せてな。これ約束だから」
手をギュッと握ってくるからあたしも同じように握って彼に笑ってみせた。
うん、がんばるよ。
そう心の中で唱えた。