引っ越し先はあたしの隣⁉︎
あーあ。『ありがとう』の一言も言えなかった。
まあ、結構急いでたし、言うタイミングもなさそうな状況だったから仕方ないか。
桃笑ちゃんの行った方向を向いたままボーっとそんなことを思っていると、
「まーい!」
聞き覚えのある声と共に教室のドアが思いっきり開けられた。
そこにはなっちゃんがいるんだけど、顔に笑みがない。
……どうしたんだろう。
聞こうと口を開く前に、なっちゃんがあたしの手を取って「ちょっと来て」の一言だけ言って教室を出た。
えっ。ちょっ!
「っ、なっちゃん!?どうしたの!?」
大きな声で言っても無視したまま歩いていく。
あたし、なんかしたかなー。
なっちゃん、怒ってるよね……?
なんで?
あたしはこの状況が理解できなくて、空き教室に入るまで親友の背中を見つめながら?ばかり浮かべていた。