引っ越し先はあたしの隣⁉︎
校門へ向かうと、二つの影が見えた。
ひとりは走ってこっちに向かってきて、もうひとりは普通にこっちに向かってくる。
「もー!どこ行ってたのー」
そう問いかけたのは北川くん。もちろんなっちゃんに言ったセリフ。
「ちょ!キモいから離れてよっ。あと、その口調やめて!」
アッサリと冷たく言い返すなっちゃん。
だけどどこか嬉しそう。
だって顔赤いし、笑ってるもん。
なっちゃん達を見ていると目の前が暗くなった。
「はい、カバン」
肩にかけてたリュックをあたしに差し出す隼田くん。
「ありがとう」
お礼を言うと、「ん」の一言で返されてしまった。
なんだー。ちょっとは期待してたのになー。
北川くんは心配して駆けつけてくれたのになー。
……なっちゃん、いーなー。
って!なっちゃん達と比較とか、何やってるんだか!
だめだ。まだあの衝撃が大きいみたい。
……ということにしとこ。
なっちゃんカップルが動き出したから、二人に続いてあたし達も歩き出した。
そういえば、こうやって4人で帰るの初めてだな。
なんか、嬉しい。
だって、こういうの憧れてたんだもん。
あたしには絶対、いや、一生ないことだと思ってたから。
でも今は隣に隼田くんがいる。
こうして一緒に帰るのもすごく嬉しいんだ。
前で言い合いをしてるなっちゃんカップルを眺めながらそんな事を思う。
改めて思うんだけど、なっちゃんと北川くんほんとお似合いだなー。
背のバランスとか雰囲気とか、マッチングしてるし。
北川くんの事叩いたりしてるけど、なんか楽しそうだし。
……漫才してるみたい。
それぐらい仲がいいってことだよね。