引っ越し先はあたしの隣⁉︎
く、悔しいっ!!
そう思ったとき、前方から視線を感じた。
隼田くんも感じたのかほぼ同時にそちらを見た。
「「あ」」
ふたりして間抜けた声をする。
わ、忘れてたっ。
そうじゃん、なっちゃん達も一緒だったじゃん!
これは嫌な予感が……。
「あらあら、おふたりさん初々しいね〜♪」
そう言ったのは北川くん。
続いてなっちゃんも、
「な〜に、ふたりの世界に入っちゃってんですかー?」
とニヤニヤしながら近寄ってくる。
なっちゃんの異様な表情が気になるけど、ふたりに挟まれてしまって隠れることも出来ない。
北川くんは隼田くんの右側に立ってニヤニヤ。
なっちゃんはあたしの左側に立ってニヤニヤ。
うわー、カップルしてスゴイ顔なんだけど。
突っ込もうか迷っていると隼田くんが呆れながら言った。
「気持ち悪い顔向けないでくれる」
それはなっちゃん達に言った言葉なんだろうけど視線は北川くんの方を向いている。
「それ、俺に言ってるの?」
北川くんは顔を崩さないで言った。すごいニコニコしてる。
……ごめん、なっちゃん。
いま一瞬本気で気持ち悪いと思ってしまったよ。
「お前以外に誰がいるの?」
顔を見ずに一歩踏み出す隼田くん。
だからあたしも歩き出した。
なっちゃんは付いてきたけど、北川くんは後ろの方で地団駄を踏んでいた。
それからも隼田くんと北川くんは言い合いを繰り返して歩き進めて、あたしとなっちゃんはその様子を後ろからただ笑って見ていた。
ほぼ、北川くんが一方的に言ってるだけなんだけどね。
隼田くんは相変わらず冷たい対応で。
……なんか北川くんが可哀想に見えてくる。
でもそこが面白くて、なんか見てると和むんだよね。