引っ越し先はあたしの隣⁉︎
家に着くとふわっと身を包まれた。
なにも言わずただただ、優しく包んでポンポンと小さい子をあやすかのように頭をなでる。
こんなところに2人で抱き合ってるなんて、誰か来たらどうしようとか思うんだろうけど、
今のあたしには恥ずかしがることも嫌がることもできない状態。
もう隼田くんに身を預けて泣くばかり。
また、見苦しい姿を見せちゃった。
もう隼田くんの前では泣かないように、と決めたばかりなのに。
この優しさが心に染みて涙が止まらない。
笑顔でいなきゃ。
『泣いた分たくさん笑顔みてせな』
アイツを見かけたあの日。
隼田くんが言った言葉。
その言葉が頭の中で大きく響いてる。
あたしは深く呼吸をした。
「っ、もう、だいじょうぶ、だよ」
自分から離れて隼田くんに笑顔を向けた。
隼田くんは眉根を下げて、あたしを伺ってくる。
「ほんとに?まだ泣いてもいいのに」
「だ、大丈夫っ。もう泣きません!」
まだ泣いてもいいって、隼田くんこんな見苦しい姿見たくないでしょ。
もう見飽きてるはずなのに。
なんでこんなに優しいの?
だからってその言葉に甘えるわけにはいかないよ。