引っ越し先はあたしの隣⁉︎
守る
~斗真side~
部屋に入ってベッドに腰を下ろす。
ふつふつと込み上げてくる感情。
あんなに怒ったのはいつぶりだ?
あんなに声を荒らげたのはいつぶりだろう。
俺は今までこんなに怒ったことはほとんどない。
たぶん初めてだと思う。
そんぐらいムカついた。
本気で殴ろうとも思ったぐらいだから。
無意識に拳を作っていたみたいで、手のひらに違和感を覚えた。
爪あとがくっきり残ってる。
こんなの痛くも痒くもない。
それより木下の方が。
泣き顔は何回か見てるけど、
今回のは見ていられない涙だった。
その涙は何か伝えようとしている気がした。
木下も大丈夫とか言って笑ってたけど、あれは無理してる笑顔だった。
木下の笑顔は好きだよ。
でも、あんな笑顔は見たくない。
そんな表情をさせてるのは、紛れもなくあいつだ。
制服が同じだった。
多分あいつが真人が言ってた転入生だろう。
……厄介なやつが入ってきたな。
それと、もう一つ気掛かりが。
木下を引き止めた時のあいつの表情に違和感を覚えた。
俺の思考が間違ってなきゃ、多分あいつは木下のこと……っ。