引っ越し先はあたしの隣⁉︎
……ムカつく。
考える度にイライラが加速しているのを感じる。
「……しっ、ととか」
あいつに嫉妬してる。
なんでか分かんない。
木下だってあの様子からだと嫌ってる。
なのになんでこんなにイラつくんだろう。
意味が分からない。
夕飯を食べてる時も、風呂に入ってる時も、寝る時も……。
一向に消えないこの感情。
瞼を閉じて無理矢理寝ようと心がけてみた。
でも、チラチラと脳裏に蘇る出来事。
そこで一つの考えが浮かんだ。
……あぁ、そうか。
たぶん、あれだ。
俺の知らない木下をあいつが知ってるから。
バカバカしい感情に自嘲した。
「……俺って、ちっさ」
静かな部屋に小さく呟いた声が残った。
こんな小さいことで嫉妬してる俺ってかっこ悪いなー。
って、かっこいい関係ないか。
あいつが木下のことをどう思ってるか分かんないけど
俺は譲る気も、離す気も、別れる気もない。
かかって来いよ。
俺は木下を守るから。
どんな表情した木下だって好きって気持ちは一生変わらないから。
だから──。
だんだんと深い眠りに入っていき、木下が笑ってる夢を俺は朝になるまで見続けた。