引っ越し先はあたしの隣⁉︎
接近
季節は冬になって、11月になってしまった。
そして今日はあたしにとって命日になる。
やっ、あたし死んでないよ!死んでませんっ!ちゃんと息してます……!
なんで命日って言ったかって?
今日文化祭なんだよーーー!
とうとうこの日が来てしまったんだよ。
人前で演じるんだよ?!
このあたしがっ!しかも『シンデレラ』!!
最悪だよ……。もう色々とサイアクだ。
この日までとても大変だった。
毎日のように放課後クラスで集まって練習して、家に帰っても練習。
なかなかセリフが覚えられなくて何度も何度も練習した。
一応完璧にしてきたけど、緊張が……。
あぁ、逃げ出したいっ!
今にも走って家に帰りたいよー。
魔法が使えたらいいのになー。
舞台裏で椅子に座って外をみながらそんなことを思う。
舞台裏っていっても体育館付近の空き教室だけどね。
大きな息をつくと、肩に手を置かれた。
振り向くとニコやかななっちゃんがいた。
「緊張してるの?」
もー、人の気も知らないで。
「してるよー。それはもうハンパないんだからっ」
いいよねっ、なっちゃんは出店なんだから。
なんであたしのクラスは演劇なの?!
あたしも出店がよかったよ。
「そんな顔しないのっ。私が何しに来たと思ってんのよ」
「……あたしを笑いに来た、とか?」
「違うよ!舞を誘いに来たんだよ!」
もー、何言ってんのー?ってあたしをペチペチ叩く。
なっちゃん、そんなの冗談に決まってるじゃん。
あたしの親友はほんとに可愛いんだから。
「なに、笑ってるのよ。行くよ!」
「っ、うん!」
怒ってはなさそうだけど、手を引かれて校舎へ向かった。