引っ越し先はあたしの隣⁉︎
最悪な瞬間だった。
自分が招いた瞬間だろうけど、それにしてもこの瞬間は最悪だ。
「き、きのした……?!」
覗き込んだアイツはあたしをみて目をパチクリさせてる。
や、やばい。涙が、出そう。
こ、堪えなきゃっ。
頑張って目に力を入れる。
すると、アイツがプッと笑った。
「なんて顔してんだよ……っクク」
変わらない笑顔で笑うアイツ……岩島(イワシマ)。
いつまでも笑ってる岩島にムカついて、言ってしまった。
「っ、笑うな!バカ!!」
と。
そのままの勢いで岩島の顔をみた。
見た瞬間後悔した。
久しぶりに見た岩島の顔。
あの頃とそんな変わってないけど、骨格とか体つきがやっぱり成長してて、髪の毛は茶色がかかって、ボウズじゃなくなってた。
……あたしの──。
ううん。それは今関係ない。
もう忘れるって決めたんだから。
「ん?……なんか付いてる?」
そう言って自分の体を見渡す岩島。
あたしの顔と自分の体を交互に見ているから思わず笑ってしまった。
「あ、やっと笑ってくれた」
岩島はあたしを見て微笑む。
えっ。……なに、それ。
そんな目で見ないでよ。
あの言葉も、今みたいな視線も……全部嘘だったくせに!!
「……アンタとは話す気なんて、ないから」
怒りで心が黒く染まってきた瞬間、あたしは冷たく言い放った。