引っ越し先はあたしの隣⁉︎







シンデレラはなんとか無事に成功した。

なっちゃんが言った通りあっという間だった。

緊張は始めからしてたけど、演じてるうちに徐々に治まってきた。
緊張とは裏腹にドキドキは終始治まってくれなかったけど。

ドキドキは全て隼田くんのせいだと思う。


本番までお互い1度も会わなかったからかな?


さらにパワーアップしてたよ!イケメン度がもー、ハンパなかったっ!

白のタキシードがより一層隼田くんを強調してて、眩しすぎた。
だから舞台に上がった瞬間のお客さんの声が黄色かった。


隼田くんがあたしの彼氏なんて本当に夢のまた夢だよね。
でも彼氏さんなんだもんなー。


2人で踊るシーンはかなり恥ずかしかったなー。

隼田くんの手があたしの腰にあったんだよっ!
もう死にそうだった。
なによりあたしのお肉に触れてるってことが。

うん、この時が一番ドキドキMAXだったと思う。
いや、終始MAXだったよ。


そういえば、あの時なんて言おうとしてたんだろ。……岩島。



「お疲れさま」


今日の出来事に思いふけっていると、声が聞こえた。


「もう、HR終わったよ。帰ろ」

顔を上げると制服姿の隼田くんがいた。


わ、もう終わってたんだ。
全然気付かなかったー。

椅子から立ち上がって一緒に教室を出る。


岩島のことは忘れよ。考えたってなんも得になんかならないんだから。



不意にお互いの手が触れて、目が合う。

隼田くんがふわっと笑うからあたしもつられて笑い返した。

自然と繋がれた手に目を向けるとギュッと握られた。


ぅわあ。なんかドキドキする。

学校だから?

たぶん初め、てだよね?学校で手を繋ぐの。


「なんかいいな。こーゆーの」

隼田くんはそう言って繋がれた手を少し上に上げる。


「そだね」

隼田くんも同じこと思ってるのかな?

そう思うと自然と頬が緩んでくる。


「……なんだよ」


ほんのり頬をピンクに染めた隼田くんがぶっきらぼうに言った。


それが余計嬉しくてさらにあたしの頬は緩む。


こんな表情レアだから、目に焼きつけとかなきゃな。

目がぎこちなく左右に揺れてピンクに染まる頬。
それを隠すように右手を口元にもっていく。

この仕草は隼田くんの照れてる証拠なんだ。


一緒にいると分かってくる。

困った時は首に手をもってって傾げたり、嬉しい時は目にシワがつくほどクシャっと笑うの。








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