引っ越し先はあたしの隣⁉︎
照れてる照れてる。
にしても、今日の──、
「隼田くん、カッコよかったよ……っ」
!!うっわ。あたし何言ってるんだろっ。
心で言ったつもりが、声に出てしまった。
は、恥ずかし。
どしよっ。顔が熱すぎる。顔が上げられない。
「なに恥ずかしがってんの」
そう言ってクスッと笑う。
もー、笑われてるし。笑わないでよー。
「……木下も、可愛かったよ」
少し間を置いて隼田くんが言う。
っ。や、やばい。
どうしよっ。心臓が破裂しそう。
余計顔見れなくなっちゃったじゃん!
顔の熱を冷まそうと左手でパタパタする。
その様子をみて、隼田くんはいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「な、なに……?」
「いーや、別に?」
そーやって、はぐらかす。
「……気になるんだけど」
「気になる?」
S隼田くんだ、これは。
なんか嫌な予感がする。
んー、気になるなー。でも意地悪されそう。
あ、分かった。
「バカにしてるんでしょ」
ふーんだ。いいもん、そんなことぐらい分かってるし。
可愛いって言葉を間に受けたあたしをバカにしてるんだ。
そうですよっ。あたしは可愛くないですー。太ってるんだから。
……隼田くん、恥ずかしかったよね。
「何言ってんの?」
そう言って隼田くんはキョトンとした顔で覗いてくる。
え、なにその反応。
「だ、だから、バカにして笑ったんでしょ?」
違うの?と首を傾げた。
すると隼田くんはひとつ息を吐いてもう一度「何言ってんの」と言った。
「バカにするわけないじゃん。可愛かったからだよ。ってさっき笑った仕返し」
そう言ってクシャっと笑った。
……その笑顔は、反則だよ。
もう何も言い返せないじゃん。
隼田くんの笑顔はより心臓を速くするんだよ。
もう、死んじゃいそう。死なないけど。
手は繋いだまま隣でまだ笑ってる隼田くんに対してあたしは足元に並んでる2人の影を見つめたまま。
あとこの十字路を左に曲がったら家に着く。
明日も頑張ろうね。
そう心で唱え、繋いでる手に力を入れた。