引っ越し先はあたしの隣⁉︎
言いたいこと
文化祭2日目。最終日。
昨日より少し肌寒いけど、雲の隙間から太陽が穏やかに照らしている。
今日は本当に気合いを入れて頑張らないと!
そう意気込んで家を出る。
同じタイミングで向かいの扉も開かれて、相変わらずかっこいい彼と目が合った。
お互い「おはよ」と交わし、ふたりして照れ笑いをする。
一体いつになったら慣れるんだろう。階段を降りながら思った。
地上に立つと自然と繋がれる手。それとともに学校へ歩き出す。
学校に着き、舞台裏の教室に入るとクラスメイトと先生が集まってた。
そりゃ、そうか。ここはあたし達3年4組の仮教室になってるから。それと女子の更衣室にもなってる。男子はこの教室の隣の小さな個室が更衣室になっている。
ちょっと差別化してるかな、とも思うけど。
でも、同じ場所で着替えるにはいかないから。
第一デリカシーってのがあるからね。
「舞ちゃん、おはよー!隼田も!早くこっち来て」
ドアの前で目の前の光景に目をやるあたし達に桃笑ちゃんが手招きした。
いま8時、40分だよ?
なんで、みんな円陣なんか……?
まだ、開演まで約4時間もあるのに。
ほかのみんなも「こっち来て」と手招きしてあたし達を招く。
うん、と頷いて桃笑ちゃんの隣へ向かう。
隼田くんは友達に呼ばれたみたいでそっちに周った。
みんなで円くなり手を繋いで、円陣を組んだ。
「よーし、みんな。今日は最終日。昨日より多くのお客さんが見に来ると思うけど!緊張はほどほどにして、めいっぱい楽しもう!」
笑顔で力強く言っている桃笑ちゃんにみんなも笑顔で頷く。
「全員は……いないけど。みんな心を一つにして成功させよう!」
桃笑ちゃんが一人ひとり顔を見ながら言い、それにみんな頷く。
最後は先生にバトンタッチさせて「4組の演技力見せつけてやれ!頑張るぞおおお!」の掛け声にみんなの声が大きく重なった。
先生の意気込みがあまりにも真面目過ぎたからしばらくみんなで大笑いしたけど、今年2度目のクラスが一つになった瞬間だなと思った。