引っ越し先はあたしの隣⁉︎

時間はあっという間に過ぎ、辺りはすっかり赤みを帯びている空模様になっていた。


昨日よりもっと緊張したけど、最後まで楽しむことが出来た。
隼田くんの登場には昨日よりさらに真っ黄色な歓声が上がっていたのはやっぱり印象的で。


とりあえず、演劇『シンデレラ』は無事に終えることが出来た。


今は後夜祭の準備中。

だから体育館でなっちゃんと一緒に場所取りに来てる。

ベースやドラム、マイクなどの機械の音取りとか、ステージの照明位置とか色々と役員の人たちがバタバタと取り組んでいる。


その雑音の中あたし達は目にもくれず昨日今日のことを話した。


屋台はどれが一番美味しかったとか、
あの子は可愛かったとか、
お化け屋敷入ればよかったとか、
いろいろと。

お互い褒めあったりしてなんやかんや過ごしてるうちに、体育館にはほぼ全校生徒が集まっていた。


その光景を目の当たりにして「多っ」とふたりして声が重なり、笑い合う。


多くの生徒の中からこちらに向かってくるふたりをみて、手を振る。



目をキラキラさせて飛びついてくる北川くん。もちろんなっちゃんにだけど。
それに続いて呆れ顔ながらもあたしに優しく笑う隼田くん。

2人はなっちゃんとあたしを挟むようにして、北川くん、なっちゃん、あたし、隼田くんの順に並んで座った。



「みんなお疲れさま！」

と声を弾ませて言う北川くんに3人して様々な答え方で「お疲れさま」と答えた。
隼田くんは目だけ向けて無言だったけど。


会場内が暗くなりブザーがなるとキィィーンと鳴り響き、大音量の声が響き渡った。

司会進行の可愛らしい女の子と体育会系の女の子が照れ笑いをしてペコペコ頭を下げているのをみて、みんなが笑い出す。

その様子をみて、これで最後なんだなとしみじみ思ったり。


会場はどんどんヒートアップしていくに連れて、生徒の声もどんどん大きくなってきた。

あたしもなっちゃんも北川くんも大きく腕を振ったり、体を揺らして踊ったり、手拍子を打ったりして大いに楽しんだ。


隼田くんはあまり興味が無いのか、ただステージ上を眺めてるだけ。

ふと視線が合うと好きな笑顔を向けてくるから、彼は彼なりに楽しんでるのかな、なんて思った。