引っ越し先はあたしの隣⁉︎
お互い黙り込むから静けさが増す。
ハッと思って何も言わず岩島から離れて、自販機の前に立った。
早く、早く、早く……っ。
そう心の中で繰り返しながらお金を入れて、迷うことなくボタンを押し、出てきたものを取って素早く立ち去ろうとした。
でも、あたしの行動を読んでいたらしくアッサリ捕まってしまった。
手首が熱い。
「……何。離してよ」
感情のこもってない声音でそう言って顔を、岩島の顔を見た。
思わず目を見開く。
なんでそんな顔を向けるの?
なんでそんな……。
……意味わからない。
苦しそうな、切なげな目であたしを見る。
「ごめん、木下。……俺は──……」
その言葉にあたしの頭は真っ白になった。
そして、耳を疑った。
だって、有り得ない。
散々、あたしをバカにして。
散々、傷付けられたのに。
あの時、岩島がそんなことを思ってたなんて──。