引っ越し先はあたしの隣⁉︎








──時を遡ること、五年前。



当時、中学1年生だったあたしは同じクラスの男子に恋をした。

いわば、片想い。


その相手が岩島だった。


岩島拓(イワシマ タク)。
背が高くて、誰よりも輝く笑顔が特徴の男子。
野球部所属で、キャッチャーを務めていて、今の岩島とは全く違う髪型で、ボウズだった。


なんであたしが岩島に恋したかって?


ある朝のHRで突然の席替えが行われたことがキッカケだった。

入学して、やっと慣れた環境に座席。

それなりに友達はできたものの、人見知りがちのあたしにはこの出来事に戸惑った。

くじを引き、番号を確認してその席に移動する。


座席は前にいた所とは反対側の窓側の席。

心の中で『よっしゃ!』とガッツポーズをとった時にやって来たんだ。


元から男子が苦手なあたしは話しかけようとも、目を合わそうともしなかった。

けど、この時は違った。


隣から「ぷっ」と笑う声が聞こえたから、思わずそっちへ目を向けてしまったんだ。



その瞬間、なにかが弾けたような感覚が心を埋め尽くしたの。









< 173 / 237 >

この作品をシェア

pagetop