引っ越し先はあたしの隣⁉︎
──時を遡ること、五年前。
当時、中学1年生だったあたしは同じクラスの男子に恋をした。
いわば、片想い。
その相手が岩島だった。
岩島拓(イワシマ タク)。
背が高くて、誰よりも輝く笑顔が特徴の男子。
野球部所属で、キャッチャーを務めていて、今の岩島とは全く違う髪型で、ボウズだった。
なんであたしが岩島に恋したかって?
ある朝のHRで突然の席替えが行われたことがキッカケだった。
入学して、やっと慣れた環境に座席。
それなりに友達はできたものの、人見知りがちのあたしにはこの出来事に戸惑った。
くじを引き、番号を確認してその席に移動する。
座席は前にいた所とは反対側の窓側の席。
心の中で『よっしゃ!』とガッツポーズをとった時にやって来たんだ。
元から男子が苦手なあたしは話しかけようとも、目を合わそうともしなかった。
けど、この時は違った。
隣から「ぷっ」と笑う声が聞こえたから、思わずそっちへ目を向けてしまったんだ。
その瞬間、なにかが弾けたような感覚が心を埋め尽くしたの。