引っ越し先はあたしの隣⁉︎
朝、いつも通りHRが始まる20分前に学校に着き、授業の準備をする。
念願叶ってなっちゃんと初めて同じクラスになれて、あたしは幸せだった。
ふたりで他愛ない話をしていると、教室のドアが開いた。
教室にはほぼクラスのみんなが集まっていて、賑やかだったのが一瞬にして静まり返る。
それはほんとに一瞬で直ぐ賑やかさが復活した。
岩島の一連の動作をボーッと眺めていると、
ふと、岩島と目が合った。
いつもならニコって笑って手を振ってくれるのに、今日は全く違う反応をした。
……そら、された?
ううん。ただの勘違い。そう思いたかった。
それから昼休みも、放課後になっても岩島は話しかけにこなかった。
自分から行けばいいものを、意識し過ぎて弱くなってしまう。
そんな日々が続いて、ある日耳を疑う出来事があたしを襲ったの。
お昼休み、なっちゃんとあたしは図書室で暖をとりに遊びに行った。
教室に戻る途中、ちょっとしたゲームをしながらふざけ合っていると、
──ドンッ。
背中に硬い何かが当たった。
あたしは後ろ向きで歩いてたから。
「す、すみませ……っ!」
振り向いて息をのんだ。
というより、びっくりした。
「……い、わしま」
思わず名前を呼んでしまった。
いつぶりだろう。
こうやって顔を間近で見たの。名前呼んだのは。
あたしの心臓がどんどん加速していくのが分かる。
顔、絶対赤いだろうなーとのんきに思いながら「ひ、久しぶりだね」と声をかけた。
でも、あたしに向けるその目は冷たくて。
……怖いと初めて思った。