引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「……目、瞑って」
ドキッとした。
今までで聞いたことのない声で囁かれたから。
うっ、ちょっとこれはダメなやつだよ。
隼田くんが、いつもと違うし!
なんか、いっ、色っぽい……!!
ど、どうしようっ!
「ほら、早く」
また、この声で!
やめてー!
……このまま言われた通りにすれば、どうなるかな。
分かんなくはない。たぶんアレだと思うし。
って、なに考えてるの!あたし!
もう、こうなったら。
やってやる!!
言われるがままあたしは目を閉じた。
あ、あれ?
あたし、ちゃんと閉じたよね?
ちゃんと言われた通りにしたよね?!
なのに、なぜ来ない?!
……あ、言い方間違えた。
なぜ、気配がないの?!
すると、すぐそばで笑いを堪えられなかったような喉を鳴らした声がした。
薄ら目を開ける。
そこには、少ししゃがんで肩を震わせてる隼田くんがいた。
目が合って、逸らされて、笑う。
その繰り返しをする隼田くんに、あたしは自ら近寄って見下ろした。
なんか、この感じ新鮮かも!
なんて思いながら、彼をみる。
「ククク、ごめっ、ククク」
「なっ!笑うな!」
まだ、笑ってるし。
……しかも、上目遣いだし。
なんかキュンとしちゃったじゃん!
やっとおさまったのか、ふぅと息を吐いて立ち上がった。
あーあ。元通りになってしまった。
せっかく立場逆転を楽しんでたのに。
いつも見上げてるから、見下ろしているのがなんか新鮮で楽しかった。