引っ越し先はあたしの隣⁉︎
まずは、袋ぴょんぴょん。
正式な名前が分からないからあたしが勝手につけました。
袋の中に入って飛びながら一定の距離まで移動するの。
次は、平均台。
バランス悪いからここはゆっくり、慎重にっと。
ここでトップから3位に。
負けないんだから。最後は“アレ”を取ってしまえば楽勝なんだから。
あたしこう見えて意外と運動神経がいいんだからね。
なめんなよっ!
あたしは抜かした2人を見た。
スポーツのことになるとキャラが変わってしまうあたし。
次に、網。
ここは周りが持ち上げてるのを利用して抜けていけばカンタン。
挽回して2位になったもののまた追い越された。
そしてついに“アレ”とご対面。
“アレ”とはねロールケーキのこと。
体育祭でしか食べれないんだよ!
だからニガテな障害物競走をこのロールケーキのために走ることにしたの。
みんな苦戦してるなか、あたしは紐で吊らされているロールケーキをパシッと口きにくわえてゴールを目指して走った。
結果は1位。
すると、腕をガシッと掴まれた。
びっくりしたけど1位の人が集まってる場所へ案内するために掴んだのだと気付く。
「速いのな」
ん?
聞いたことのある声が上からして、見上げた。
「は、隼田くんっ!」
なんで隼田くんが?って思ったけど彼が言ったことで納得した。
「なにびっくりしてんの。俺、実行委員だから」
ほらっ、と腕につけてるバッジを見せる。
「お、お疲れさまです」
「どーも」
そんなやりとりをしながら集まる場所に着き、「じゃ」とお別れした。
すると、振り返ってまた戻ってきた。
「な、なに?!」
「……耳かして」
え、耳!?
言われた通りに耳をかした。
「……おめでと」
あまりの出来事に固まってしまった。
「おい、何固まってんだよ。もう終わってんぞ」
その声で我にかえる。
え、終わってる?!
周りを見るともうほとんどの生徒たちが戻っていた。
だからあたしも慌てて戻った。