引っ越し先はあたしの隣⁉︎
──ドドド、ドーン……ヒュー……。
その音を聞いてあたしは興奮しながら隼田くんをみた。
「っ!花火!!」
何度も連呼するあたしに苦笑気味の隼田くんは椅子から立ち上がって手を差しのべる。
その手に自分の右手を乗せる。
ギュッと握られたふたつの手に目線を定め、とても幸せに感じた。
轟いているいくつもの音を耳にしながら、教室からグラウンドへと足を運んだ。
「あ!お~い!」
5分もしない内にそこへたどり着くと、グラウンドへと繋がる階段に二つの影が見えた。
ひとりは立っていて大きく手を振ってる。
北川くんだろうなと直感で思った。
その左隣で座って手を振るのはなっちゃんだろう。
あたしは2人に手を振り返した。
隼田くんも少し手を挙げた。
「まいーー!無事でよかったあ」
「ごめんね。ありがとう」
抱きついてきたなっちゃんをあやすように背中に手を回す。
心配かけたよね。でも、もう大丈夫だよ。
みんながいるから。
前方を見上げると、ニヤニヤした北川くんを無視して花火を見上げている隼田くんがいた。
その姿にうっとりしてしまう。
パチリと目が合うと柔らかく笑うから、あたしもつられて笑い返した。