引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「今日さ、転校生来るんだって!男かなぁ〜♪」
なぜか隣でワクワクしているなっちゃん。
……情報速いな。あたし全く知らなかったよ。
「そうなんだ。誰がくるんだろーね」
「イケメン来たりして!」
「イケメン!?」
イケメンかぁ。……そーいえば!
「ねえ、あたしたちの学校にイケメンっているの?前から思ってたんだけど……」
何言ってんの?!って顔をしてから、顔を赤らめながら、「……いるよ」と言った。
なっちゃんの表情に気付かないあたしは、
「いんの!?へー見てみたいなぁ〜」と言った。
へー。いたんだ、知らなかった。
「見てみたいなぁ、じゃなくて!北川真人(キタガワ マコト)だよ!」
「えっ、北川くんなの!?」
「そだよ!この学校でイケメンっていったら、北川真人しかいないよ。……って女子の間で有名だからね……」
そっかー、まぁ言われてみたらそうかも。
北川くんは女の子にとってもモテてる男の子で、たぶん学校内でトップのかっこよさかもしれない人物。
「そうなんだー、あたし男の子に興味ないから……」
あたしは男の子に興味がない。
というのはウソ。ただ苦手なだけ。
以前は普通に話したり恋をしたり(片想いだけど)してたけど、あの日からもう恋を『しない』と決めたから。
第一、この体型が邪魔してるから……。
今時ぽっちゃり……いやデブを好む人なんていないでしょ?
「まい……大丈夫?」
あたしの表情を読み取ったのか、まゆを下げて覗いてくる。
あ、またやっちゃった。
「大丈夫大丈夫!ごめん、心配させちゃって」
あたしは笑ってみせた。
なっちゃんはあたしが男の子が苦手なことを知ってる上、恋ができなくなった理由も知っている。
そのせいで、心配症にさせちゃったのも。
転校生のことやら色んな事を話していたら、学校に着いていた──。