引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「そんなことして何の意味がある?そんなのただの自己満にしか聞こえない。それに、」
グッと握られた拳に力を入れた。
それは後悔と決心。
認めたいけど、認める気持ち。
負けだけど、負けたくない気持ち。
「アイツは絶対に木下と別れない。だからそんなことしても無意味だと思う」
俺はしっかりと目線を合わせて全て吐き出した。
なんか言ってて変な感じがした。
その言葉は自分にも言い聞かせているようで。
「アンタに、何がわかるのよ」
ボソッと言われたせいで聞き取れなかった俺は問い直した。
「アンタにそんなこと言われる筋合いはない!別れない?!そんなの誰が言ったのよ!誰が決めたのよ!」
……俺、だけど?
アッサリ胸の内で回答してしまう俺は、本当にバカなんだと思う。
でも、さっきのアレで何となく感じた。
何となく。
お互い信頼し合ってる感とか。
お互い好き合ってるんだなって。
マジで嫉妬するよな〜。
「うちは決めたから。明日実行する。そして木下さんは隼田くんと別れてもらうから」
そう言って俺の横を通り抜け、校門へと歩いて行った。
一気に脱力感が俺を襲い、その場にしゃがみ込む。
大きな溜め息を一つ吐き、髪をクシャっとした。
「マジで……」
ごめん、木下。
ここに来ても傷付けて。
……本当に俺って最低だよな。
わかってるよ。
あの時から俺は変わってしまったみたいだから。
「ごめん、木下……」
嫌われてもいい。
でも、笑顔をもう一度俺に向けて欲しい。
だから、明日──。