引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「ごめん。謝っても謝っても許されないことは分かってる。このまま嫌われてもいいとも思ってる。けど、」
1m弱のこの距離で変わらず真っ直ぐ見据えながら言う。
「俺は木下のことが好き。中1ん時からずっと想ってた」
──っ。
その言葉はなぜかあたしの心をギュッと締め付けた。
多分、聞きたかった言葉だったから。
おかしい。
あたしは隼田くんが好きなのに。
なんで岩島の言葉でギュッと胸が苦しくなるんだろう。
だんだんと視界がボヤけて、岩島の顔が歪んでいく。
「っ……なんで、そんなこと……っ」
今更、だよ。
そんな目で見ないでよ。
憎いはずなのに、ホッとしている自分がいる。
「あの時怖かった。木下と離れるくらいならいっそのこと思いっきり避けようって思った」
岩島はあの時のことを言っているんだ。
中3にあがった2週間後の出来事を。
「でも気持ちは全然消えてくれるどころか、ずっと気になって。それでも自分の気持ちにフタをしようとしてた」
岩島は苦しそうに顔をしかめて、あの頃を思い出しながら語り続ける。
「本当に酷いことをしたし、酷いこと言ったと思う。だってあの時……、木下の姿に気付いてたから」
岩島は更に眉をしかめる。
……そっか、気付いてたんだ。
確かに、あたしが負った大きな心の傷はあの頃から完治されてない。
むしろ、自分でも傷付けてたからその傷痕は増えていたと思う。
けど、もうすぐ治ると思った。あとは時間の問題だ。