引っ越し先はあたしの隣⁉︎
悔し涙を浮かばせて
「言い方、ずりぃぞっ」って顔を隠すから、面白くて特大の笑顔を見せた。
すると、「あっ」と不意をついた声を上げた。
岩島の目線の先をたどって振り向くと、そこには隼田くんがいた。
ほんの少し顔を歪ませ、隼田くんはクルッと向きを変えて行ってしまった。
「は、隼田くんっ!」
背中に向かって呼ぶけど振り向かないで、廊下を曲がってしまった。
追いかけなくちゃっ!
岩島に目を向けると
「早く、追いかけなよ。多分あれは相当怒ってる。めっちゃ睨まれたし」
ぽんぽんと背中を押して、彼が行った方向を指さす。
それに頷いて走り出した。
「神楽のことは気にすんなよ!」
「がんばれ!」
「ありがとーー!!」
背中から聞こえる岩島の弾んだ大きな声。
あたしは笑みを浮かべた。
ありがとう、岩島。
やっぱり岩島はあの時から変わってなかったよ。
大きなその声も、笑顔も、優しさも、真っ直ぐな心も、全部。
恋をまたした時は今度こそ、その相手に真っ直ぐな想いを届けてね。
って、余計なお世話か。
小さな光を胸に抱き、あたしは隼田くんを追いかけた。