引っ越し先はあたしの隣⁉︎
いただきますをして、頼んだものを食べる。
あたしは『ジューシーバンバンバーガー』っていうちょっと変わったネームのハンバーガーを頼んだ。
名前微妙なのに、味は最高で。
おいしいから思わず頬がゆるむ。
「相変わらずおいしそうに食べるな」
「っ、おいしーよ!……食べてみる?」
恥ずかしいけど素直に受け止め、隼田くんに食べかけのハンバーガーを差し出した。
「いいの?」
「い、嫌じゃなかったら、どーぞ?」
「じゃ、遠慮なく」
言葉通り隼田くんは大きな口をあけて、食べた。
あ……。
あたしの、ハンバーガーが!
もうあと一口しかないんだけどっ!!
ショックを受けているあたしをみて隼田くんはクククっとのどを鳴らした。
「もー、そこは遠慮してよぉ」
ショック過ぎて声のトーンが落ちる。
「ごめんごめん。……はい、これで機嫌直して?」
そう言って隼田くんの食べかけ、ハンバーガーを差し出す。
それを凝視していると隼田くんは目の前でチラつかせた。
ゴクリと唾を飲み込む。
い、いいのかなっ?
なんで躊躇しているのか自分でもわからない。
それでも、なんか申し訳ない気持ちに駆られる。
「食べないの?じゃ、食べるよ」
「たっ、食べる!!」
出た言葉はお店中に響くほど大きな声で。
辺りは静まりかえっていた。
あ、あたしとしたことがっ……!
消え入るような声で周りに謝罪し、ペコっと頭を下げる。
「くはっ」
笑い出す隼田くんを真っ赤な顔で睨んだ。
もう、笑わないでよっ。
いますっごく恥ずかしいのにっ!
隼田くんのバカ。
悪態をつきながらも自分のトレーに置いてあるそれを手にして食べた。
……おいしい。
手を突き出して隼田くんに残りを渡した。
「全部食べていいんだよ?」
「っ食べません!」
意地悪だ。
そんな顔を向けるなんて。
だから強がって断ってしまった。
……ちょっと後悔。