引っ越し先はあたしの隣⁉︎







透明な袋から輝いて見えるそれを取り出した。


「あ、貸して」

そう言ってネックレスを手に取ってあたしの後ろに回った。


あの、ドキドキが止まらないんですが!
……困ったな。

後ろから抱きしめる感じに手が伸びてきて、そして引っ込める。


すると首元にヒヤリと冷たさを感じた。



「ん、よし」

「……ありがと」


首元に手をもっていって、確かめる。
リボンの形をなぞった。
とても温かく感じた。



「……隼田くん、これ」

そう言って小さな袋を差し出す。


実はあたしも用意していた。

本当は女の子っぽく手編みのマフラーとか手づくりものをあげたかったんだけど、そういう行いは苦手だから。

安っぽいアクセサリーを買った。


隼田くんは少し驚きながらもそれを受け取って袋から出した。



「ごめんね、なんか……」

「……やべ、うれし」

そう言ってふわっと笑うからあたしも笑った。


よかった、喜んでくれたみたい。
正直不安だったから。


あげたのは、水色を基調としたビーズブレスレット。

隼田くんの好みとか分かんなかったんだけど、この日に着ていく服を買いに行った時に偶然入ってみたメンズのアクセサリー屋さん。


ひとりだったら、違うものをあげてたかもしれない。



「どお、似合ってる?」

手首につけて聞いてきた。


「うん、隼田くんぽくて合ってる」


水色が好きそうだなとあの時、夏休みの宿題を教えてもらった時にそう感じたから。


ありがとって少し照れながら言う隼田くんに可愛いなって思った。

そんなこと言ったら倍返しされそうだから、笑顔を向けた。



アパートの階段を順に上がって自分達の玄関前に立つ。



……まだ、一緒にいたいな。
時間が経つってとても速いよ。

つらい時間は遅く感じるのに。









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