引っ越し先はあたしの隣⁉︎
おでこの少し上にヒンヤリとしたものが軽く触れた。
それが柔らかく感じて一気に顔が熱くなった。
思わず顔を上げた。
するこ今度は彼の顔が間近に見えて。
唇に触れたのはとても一瞬だった。
目を開けながら隼田くんがゆっくりと顔を離す。
あたしはただぼう然と隼田くんの顔を見つめているばかり。
多分すごいあほ面をしていると思う。
「ほら、もう家に入りなよ」
そう言ってあたしの肩に手を置いて、クルッと向きを変えさせた。
あたしの目線の先には自分ん家のドアがみえる。
それが徐々に近付いてきた。
実際には近付いてきたんじゃなくて、あたしが近付いてるのだけれど。
思考がまだうまく働いていないからだ。そういう風に思うのは。
「じゃね、舞美」
その声にハッとして振り向いた。
「なにしてんの、入りなよ」
そう言って柔らかく笑った彼に小さく頷いた。
ドアノブをひねって家に入る。
あたしはまだ閉めずに半開きになったドアの隙間から隼田くんを見上げた。
ん?と目尻を下げて首を傾げてる彼。
その仕草が可愛い。
ほんと、かっこよくて可愛いって隼田くんが羨ましいよ。
そして、自慢の彼氏だよ。
あたしには本当にもったいないくらい。
それでもこんなあたしを『好き』って言ってくれるんだ。
ありがとう。
「斗真くん、好きだよっ……じゃね!」
バタンと閉めて即自分の部屋に入った。
初めて一緒に過ごしたクリスマスイブ。
ドキドキが終始止まらないクリスマスイブ。
改めて今日はとても素敵な日だったよ。
プレゼント喜んでもらえたし。
あたしも嬉しかった。
ネックレス大事にしなきゃ。
名前の件はもう少し待ってて欲しいな。
がんばるから。
思い出したら恥ずかしいけど、キスもいつもと違くて、とても幸せに感じた。
また来年も一緒に過ごせるといいな。
欲をいえば、これから先もずっと。
用事を済ませたあたしは、布団の中で未来を描きながら夢のなかへと吸い込まれていった。